研究概要 |
本研究課題では、マイクロ波の物質への浸透性と水分およびイオン化物質に対して異なった特性を有することを活用して、今までは測定が困難であった土壌の含水率およびイオン濃度を同一の測定器を用いて同時に測定できることを目的とし、農作物に適切な地中の水分保持と塩害を起こさない灌漑に役立ち,環境を破壊しない適切な施肥の制御を可能にするなど、土壌の健康状態を監視するセンサを実現することを目指している。 平成17年度は、前年度に実施した本研究課題遂行に必要な基礎データの実験的収集成果を踏まえて、将来センサとして使用するのに解決すべきことを把握するための試作センサ基板を、個別マイクロ波半導体デバイス、汎用電子デバイス等を組み合わせて製作した。全ての部品を入手できず、既存の測定器を併用したことおよび周波数の異なるマイクロ波回路を同一基板上に組み込むことができなかったことにはなったが、高価なマイクロ波ベクトルネットワークアナライザを使用した場合と同様な測定結果が得られることが確認でき、汎用性のある水分及びイオン濃度検出センサとして将来活用される可能性が示された。 試作センサー基板の基本的仕様は、以下のとおり。 センサの構造:マイクロストリップ線路を用いた準透過型 使用するマイクロ波:周波数2.6GHzおよび8GHz、出力約10mW 研究成果に関連して、第6回電磁波と水および含水物質との相互作用に関する国際会議(ドイツ)および電子情報通信学会論文誌C(Vol.J88,No.12,2005)で公表し、特許申請中である。
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