研究概要 |
従来医療・バイオ分野でのイメージセンサには主としてCCDが用いられてきており,例えば蛍光顕微鏡と組み合わせて微弱な蛍光を観察するイメージセンサには冷却CCDが用いられている.これに対して小型でかつ高機能なCMOSイメージセンサを用いることにより,生体内埋込可能なオンチップイメージングデバイス実現を目指すものが本研究の目的である. 本年度はマウス脳内埋込実験のため以下を実施した. (1)生体内埋込実験用のマウス脳ファントムの開発 マウス脳への埋込み実験のために,マウスの脳と光学的・強度的に近い特性を有する脳ファントムを開発した. (2)in vivo実験用デバイス実装技術の開発(薬剤投入,励起光導入など) 生体内埋植可能で,励起光導入と薬剤注入機構を有するデバイスを開発した.200μm,厚程度に薄くしたイメージセンサをポリイミド基板に貼り付け,撮像面上に薬剤注入針先端部が来るように薬剤注入針をシリコーンで基板に固定した.この針はテフロンチューブに接続し,マイクロシリンジにより薬剤を注入できる機構とした. (3)in vivo実験の実施 脳活動に伴うプロテアーゼの発現観察のin vivoイメージング実験を行った.本研究では観察対象のプロテアーゼとしてニューロプシン(neuropsin, NP)とtPA(tissue-type plasminogen activator)を想定した.NPとtPAそれぞれの発現を可視化するための非蛍光基質として,PGR-MCA及びVPR-MCAを用いる.先端部を40°カットしたPMMAファイバにより水銀灯からの励起光を海馬付近に導入した.カイニン酸投与から一定時間後に画素値が上昇し始めているにとが確認でき,本方式の有用性を示すことができた.
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