研究概要 |
本研究で得られた知見を以下に述べる。 1.三重障壁共鳴トンネルダイオード(TBRTD : Triple-Barrier Resonant Tunneling Diodes)に関する研究 (ア)三重障壁(結合量子井戸)構造固有の電荷蓄積による非線形バラクタ特性評価 (イ)GaInP/GaAs TBRTDのショットキーコレクタ型TBRTDの作製と評価 (ウ)GaInP/GaAs TBRTDの低周波雑音特性,マイクロ波高周波重畳特性の評価 (エ)GaAs系,GaInP系高速原子ビーム(FAB)を用いたドライエッチング技術の確立 (オ)TBRTDの物理描像に根ざしたSPICEモデルの構築 (カ)評価関数を用いたTBRTDのナノサイズエピタキシャル層設計手法の確立とInAlAs/InGaAs TBRTD設計 (キ)以上によりTBRTDの静特性・動特性観測と物理解明,設計理論の構築は完了した。作製プロセスの最適化については今後も検討の余地が残っている。 2.オンチップ平面型スパイラルインダクタのサイズスケーリング則の検討 (ア)インダクタンス,およびQ値を一定に保持したままのサイズ縮小則を見出したが同時に金属配線を用いているが故にQ値が減少し始める縮小限界が不可避に存在することも明らかにした。 (イ)ここで得られた知見は共鳴トンネルダイオードを用いた高Q値・広帯域アクティブインダクタを発想する契機となった。 3.自己補対型集積アンテナに関する研究 (ア)ログスパイラルアンテナにリング状平面給電形状を付与することに依る放射特性の改善効果を見出し,そのサイズ縮小則を解析した。 (イ)ボウタイアンテナのテラヘルツ帯放射特性と集積設計のための等価回路モデルの構築を行い,共鳴トンネルダイオードなどの能動素子との集積構造と特性との関係を解明した。
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