研究概要 |
アドホックネットワークで用いられる端末は、主に携帯型の端末であり、その上で構築されるアプリケーションについても、モバイル環境特有のLBS (Location Based Services・位置情報依存型サービス)が標準的に提供されると考えられる。このためには位置同定デバイスが具備されている必要があるが、このことはコスト面では問題とならなくなりつつある。従って、近未来において、アドホックネットワークを構成するほとんど全ての端末が位置情報を入手可能であると考えるのが自然である。 このような観点から、本研究では、位置情報をアプリケーション構成のためのみに用いるのではなく、ルート構築などアドホックネットワークを円滑に動作させるために積極的に用いて、その性能を向上させることを研究目的とし、次の成果を得た。 1.経路上に障害物が存在する場合に、これを迂回させるために物理空間上に「参照点」を導入して、巧妙に迂回経路を設定する手法を考案した。 2.非常に多数の歩行者の動線を計測すると共に、これに基き群としてのモビリティを含むモビリティモデルの構築を行った.またこの知見に基づき歩行者が群行動する場合に有効なルーティング手法を提案した. 3.GPSを用いた測位の実際の測位誤差の時間的変動をシミュレーション出来るツールを開発し,その上で測位誤差の性能劣化を抑制する方策を提案した。 4.位置情報に基づくルーティングアルゴリズムを実装した上で動作確認のための実証実験を行った。あわせてGPS等のデバイスから位置情報を取得するためのメカニズムの実装を行った。更に、アドレス体系として従来型の端末依存のアドレスだけでなく、時空間アドレスと呼ばれるData Centricな通信に適したアドレス体系のフォーマット構築を行うと共に、これを通信プロトコル上に実装する際のミドルウエアの開発と実装を行い動作確認をした。
|