研究課題
電力線通信は、商用電力を供給するために敷設された家庭内外の電力線を通信線として用いることにより、データ伝送を行なうものである。現行の割当周波数である10kHz〜450kHzを短波帯(2〜30MHz)に拡大することにより高速通信が可能となるが、短波帯には船舶・航空無線等の重要な無線通信システムが存在するため、電力線通信システムからの漏洩電波を低減して、それらのシステムに影響を及ぼさないようにする必要がある。本年度は、より実際に近いモデルを構築するために、コンセント分岐を含む電力線や、照明用スイッチに見られるような2本の線の片方だけが長い電力線に対するモデルをモーメント法で構成して計算し、オープンサイトでの測定値と比較検討した結果、平衡度と漏洩電波の関係をモーメント法で解析できることを定量的に明確にした。最近の高速電力線通信システムは、OFDM(直交周波数分割多重)技術を用いることにより、劣悪な伝送路状態でも確実に通信する方法が主流を占めている。本年度は、OFDMを用いた電力線通信システムの伝送信号伝搬特性に対するシミュレーションモデルを構成し、コンセント分岐や照明用スイッチを含む電力線に対するOFDM信号の伝送特性を計算し、200Mbpsの高速信号を伝送する電力線モデムに対する測定値と比較することにより、シミュレーション方法の有効性を確認できた。電力線からの漏洩電波を測定するためには、短波帯の電波が吸収可能な電波無響設備が必要であるが、モーメント法により電波伝搬特性を解析する手法を検討した結果、FDTD法では解析の難しかった矩形とは異なる構造をした電波無響室の電波伝搬特性を解析することが可能となった。その方法を用いて、矩形と五角形の床面を有する電波無響室の電波伝搬特性を比較した結果、五角形の特性が向上することを確認した。
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