研究概要 |
近年,リサイクル社会がより一層進む動きの中で,「容器包装リサイクル法」で規定されている透明プラスチックボトル,いわゆるペットボトルの再利用が従来以上に促進されている.しかし,今までの再利用は,あくまでマテリアルリサイクルである.すなわち,ペットボトルを材料として別の製品として再利用するリサイクルであって,欧米型のリユースを目指したものではない.ペットボトルのリユースを実現するためには,形状だけでなく,素材の分別まで考慮に入れた自動分別システムが必要である.しかし,このような分別は今まで困難とされ実現されていなかった.そこで,本研究課題では,リユースのための自動分別システムをレーザー光と超音波音圧波形を用いることにより実現するための基礎研究を行う. 前年度は,対象として,プリミティブな透明な円筒や中空の6角柱などを用いたが,平成17年度は実際に製品として市場に出回っている透明プラスチックボトルを用いて,これらの対象の形状と素材による識別を試みた.市販のペットボトルを識別するためには,物体表面の細かな形状変化の検出が必要となるので,6軸ロボットを用いたレーザーレンジファインダを用いた3次元計測システムを改良した.改良のポイントは(1)三角測量式をベクトル演算を用いて厳密化したことと(2)ロボットの制御方式を見直して,より高空間分解能で3次元形状を測定できることにしたことである.それにより,市販のペットボトルの3次元形状測定を可能にした,さらに,前年度の超音波を用いた形状認識システムを組み合わせて融合システムを構成して,市販のペットボトルの認識実験を行い,その有用性を確認した. また,実用化に向けて,測定時間の短縮についても検討した.実用システムではオンラインで行うことになるので,ラインの速度を止めない程度の時間で自動分別する必要がある.そこで,速度向上対策として,FPGAを用いた予備的な識別回路を設計し,これにより,計算機での負荷を軽減し,速度の向上を図った.
|