研究概要 |
センサ技術は、情報処理や情報伝達技術の発展に比べて著しく遅れており、技術の差は広がる一方である。特に、人間の五感に相当するセンサの中で、嗅覚および味覚に相当する匂いおよび味センサの研究が著しく遅れており、種々の化学物質の集まりである「匂い」や「味」を客観的に認識・検知でき、かつ情報システムに直結できるようなインテリジェントで多機能な「匂いおよび味センサシステム」の構築が急務である。さらに、両センサの融合により、人間の嗅覚と味覚によりもたらされる「感性」を計測し、定量評価する技術の確立が、生理学などの学術分野および食品科学を始めとする多くの工業分野から望まれている。本研究は、このような背景のもと、「感性」の計測に応用可能なインテリジェント匂いおよび味センサシステムの実現を目指し行なわれるものである。 本年度は、以下の成果を挙げることができた。 (1)これまでに開発した濃縮管を用いた匂い識別システムを用いて食品の鮮度計測を行った結果,食品の熟度や腐敗度が判定できることを明らかにした。 (2)上記匂い識別システムに使ったセンサアレイの出力の解析法として主成分分析による多変量解析が有効であることを明らかにできた。 (3)昨年度試作した電気化学式の味センサシステムが日本酒などの品質評価に有効であることを明らかにできた。 (4)上記の濃縮管つき匂いセンサシステムおよび電気化学式味センサを用いた味・匂い複合型センサシステムは食品などの製造工程管理や品質管理に有効であることが実験的に明らかにされた。 (5)酸化物半導体式匂いセンサアレイを用いることで,火災の早期発見が可能なシステムを構築できた。 以上,ほぼ予定の研究を推進し,おおくの成果を得ることができた。
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