研究課題
基盤研究(B)
ブリユアン光散乱法を用いて、非破壊・非接触に高い空間分解能で薄膜の弾性率分布を定量的に計測する手法を確立するため、下記の研究を行い、良好な成果を得た。1.顕微光学系の設計と高周波横波デバイスの適用ラマン光散乱用顕微光学システムをブリユアン光散乱用に転用し、測定空間分解能10μmを達成した。またRiθA散乱光学系により薄膜の高周波縦波及び横波音速の同時測定に成功した。この測定系で多結晶薄膜、各種高分子薄膜を評価し、測定レーザー光の集光による試料損傷がないことを確認した。その後SN改善のため、測定系周辺の電気ノイズ対策を行い、フォトンカウンティングの暗騒音レベルを1〜2cts程度に低減した。また弱い横波からの光散乱測定を目的に、超高周波域のZn0横波発振デバイスの開発と組み込みを検討した。その結果、200-600MHzの周波数帯域で動作するZn0横波発振デバイスの成膜に成功し、高次モードを利用することにより、1-4GHz程度の横波励振を可能とした。実際には、3次モードあるいは5次モードの共振周波数付近で試料中に横波を励起し、そのブリユアン光散乱を観測したところ、通常熱フォノンの10万倍以上の強さの光散乱観測に成功した。この結果は、横波による光散乱測定時間の大幅な短縮とSN改善を意味している。試料中の音速分布など、多数の測定や異方性測定などが容易に短時間で行える劇的な結果となった。また、この増幅による非常に強い光散乱により、散乱光の周波数シフト測定精度も向上し、縦波と同様あるいはそれ以上(0.1%)程度となった。2.測定の自動化の検討上記で開発したブリユアン光散乱用顕微光学系にCCDカメラを設置し、試料上の観測微小領域の光学像も同時に取り込めるよう改良した。また顕微光学系内の試料保持台を自動化し、コンピュータ制御によって、試料上の音速分布を測定可能なシステムを構築した。
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Japanese Journal of Applied Physics (In press)
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