| 研究概要 |
本年度は、(1)静的荷重が作用する場合に対して、モデル材料を用いた可視化実験を行い、粒子集合体中の粒子変位挙動を確認した上で、フレッシュコンクリートの多相構造モデルおよび力学構成則を検証・修正すること、および(2)コンクリートの各種の材料分離挙動(静的荷重の場合と振動の場合)を考察することを計画した。この計画に対する本年度の実績は以下のとおりである。
1.せん断力を受ける場合における粒子の変位挙動をLAT(Laser-Aided-Tomography)法によって可視化するための試験装置を作製し,ガラス粒子から成る粒子集合体の一面せん断実験を行った。この試験結果に2次元および3次元の画像解析を適用し、静的荷重が作用する場合に対して,粒子移動量と粒子集合体のせん断変位、粒子移動量と粒子接点角、粒子集合体の平均粒子接点角とせん断応力、および集合体の支持できる応力と粒子の滑動抵抗角などの関僚に関する情報を得て、フレッシュコンクリートの力学構成則を修正した。
2.上記の成果を利用して、研究分担者(李)が提案したフレッシュコンクリートの含水粒子集合体モデル(多相モデル)を検証し、その成果の一部をコンクリート工学年次論文集に公表した。
3.検証した多相モデルに基づいて、フレッシュコンクリートの粗骨材の分離ひずみと静的せん断応力の関係式を誘導し、高流動コンクリートが自重によって間隙部を通過する際のモルタルの先送り現象および閉塞のメカニズムを定量的に解明した。この成果については公表準備中である。
4.非線性レオロジーモデルに基づいた動的粘塑性サスペンション要素法による解析手法を用いて、振動力が作用する場合における粗骨材の沈降分離およびこれに及ぼす粗骨材の寸法と形状の影響に関する考察を進めると同時に、これまでに得られた理論的考察結果を検証するための実験装置の設計・試作に着手した。
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