研究概要 |
平成18年度は,3つの研究課題を実施するとともに,平成16年度から平成18年度までの3年間の研究成果を取りまとめた. (1)骨材からのアルカリの溶出性状とASR抑制対策への提言 火山岩系の安山岩,流紋岩が主体である,北陸地方の骨材からは骨材中の火山ガラスや長石より多量のアルカリが溶出することが判明した.骨材からのアルカリの溶出性状とコンクリートのASR膨張との関係を明らかにするために,約30種類の骨材のアルカリ溶出試験を実施し,構成鉱物が相違する骨材でのアルカリ溶出性状の相違を明らかにした.これらの研究成果より,ASR抑制対策としてのアルカリ総量規制値の妥当性を検証し,アルカリ総量規制値の提言を行った. (2)ASR劣化橋脚の非破壊検査技術及びモニタリング技術の開発 能登有料道路では多くの構造物にASRが発生しているが,ASR損傷度の調査・診断結果に基づいて,対策(補強及び打替え)が順次進められてきた.平成18年度は,3つの構造物((a)鹿島橋の橋脚梁部,(b)徳田2号橋のフーチング部,(c)穴水トンネルの坑口及び側壁)での弾性波探査によるASR損傷度の非破壊検査と亀裂変位計によるひび割れのモニタリングの結果を取りまとめた.これらの研究成果より,補強及び打替えが実施されたASR劣化橋脚の健全性とASR抑制効果を実証することができた. (3)ASR劣化橋梁マップの作成とそのデータベース化 北陸地方(石川,富山)はASRが最も多く発生している地域である.能登地方の調査では,600橋梁のうち230橋梁,40トンネルのうち16トンネルにて,ASRが発生しているのを確認し,ASR損傷度を階層化したASR劣化橋梁マップを作成した.同様に,富山県でも,ASR劣化橋梁の調査を実施し,ASR劣化橋梁マップを作成した.ASR劣化構造物をその重要度とASR損傷度に基づき各地域ごとのデータを整理し,今後の維持管理計画に役立てる予定である.
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