水溶性ポリマーの濃厚溶液を利用したサンプリングについて、試料にポリマー溶液が浸透することの影響を評価すること、深部地盤から大孔径サンプリングを可能にすることと、孔底三軸試験の試験体製作への応用を目的に研究・開発を行い、以下の成果を得た。 (1)ポリマー溶液を含侵した試料の力学実験 異なる濃度のポリマー溶液を含侵させた砂の供試体を作製して、一連の三軸圧縮試験を行った。その結果、高濃度(数%程度)のポリマー溶液によっても、内部摩擦角には影響が認められず、また見かけの粘着力の増加も数kPa程度に限定されることが分かった。よって、サンプリングによってコアに浸透するポリマー溶液は表層に限定されることと、間隙水に希釈されることを考慮すれば、試料の力学特性に与える影響は極めて小さいと推定される。 (2)大孔径サンプリング用のコアバレルの開発 大径の礫や貝殻片を含む不均質な地盤を対象とした大孔径のサンプリングを対象としたコアバレルを開発した。平成16年度と同じく、基礎地盤コンサルタンツ(株)の千葉実験場において、貝殻混じりの砂層を対象に実証試験を行い、その性能が十分であることを確認した。掘り屑(カッティングス)の量に応じてポリマー溶液の供給量を調整できるようにポリマー溶液供給装置を設置すること、フリーピストンの軽量化を図ったことなどを特徴とする。 (3)孔底三軸試験への応用 孔底三軸試験において孔底に精度良く円柱形状の試験体を作製するために、RDPサンプリングの技術を応用して試験体を作製する技術を開発した。リングコア型の差動トランス式変位計を組み込んだ孔底三軸試験装置用にコアバレルを開発した。そして、モルタルを用いた模型地盤に対して、ポリマー溶液を利用してきれいな試験体が精度良く作製できることを確認した。
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