研究課題/領域番号 |
16360237
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
関口 秀雄 京都大学, 防災研究所, 教授 (20027296)
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研究分担者 |
藤田 裕一郎 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 教授 (90027285)
釜井 俊孝 京都大学, 防災研究所, 助教授 (10277379)
浜口 俊雄 京都大学, 防災研究所, 助手 (90263128)
小野 徹 京都大学, 工学研究科, 助手 (00263103)
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キーワード | 超過洪水 / 河川堤防 / 破堤地形 / 堆積物重力流 / 治水地形分類図 / 埋没水害地形 |
研究概要 |
平成17年度に実施した研究から得られた主要な成果と課題をまとめると、以下のようである。 1.破堤地形の詳細デジタル写真測量解析 台風0423号による円山川堤防破堤にともなう堤内地の微地形変化をデジタル写真測量法によって詳細に計測した。その結果、堤体土の流出と落堀の形成による土砂生産量は21000m^3であること、それとバランスする堆積域は氾濫水の主流域には認められず、その上下流側の砂堆1と砂堆2(体積和=17000m^3)の形成によって説明できることを明らかにした。 2.超過洪水事例調査 円山川立野地先の事例に加えて、洪水氾濫災害が顕著であった由良川、野田川、千種川の被災状況を現地踏査をふまえて調査するとともに、治水計画、河川改修工程、流域減災のためのモニタリング等に関する資料を収集し、流域の個性をふまえた超過洪水対策に関わるデータベース作成の基礎資料としている。 3.複雑流体の流出・再堆積ダイナミクス 越水による堤防の決壊過程を明らかにする一環として、2次元水槽を用いて、水-砂混合体の流動化後の流出特性を詳しく調べた。特筆されるのは、PIV (particle image velocimetry)法の活用により、堆積物重力流の底面から上方に向かって凝固フロントが発達し、流れの減速をもたらす様子をはじめて実証したことである。 4.リアルタイム水防災に関わる技術開発 流域における洪水氾濫災害の軽減を図って行くには、土地のなりたちを踏まえた流域水防災の文化の充実が欠かせない。水害地形環境分類図や治水地形分類図は有用であるが、紙媒体の表現にとどまっており、土地利用の変遷を考慮するのが難しい。また、時間の要素が欠如しているため、複雑流体ダイナミクスとの関わりが一般には希薄である。このような隘路を打開するために、円山川立野地先の破堤地形計測結果をGISデータベース化し、最新のデジタル空間基盤情報をとりこんだうえで、デジタル化した治水地形分類図上にオーバーレイすることを試みた。これは、次世代型のデジタル治水地形環境表現に繋がる成果である。 5.埋没水害地形の同定 旧河道等の水害地形を現地で同定するために、高分解能比抵抗法(OhmMapper)の適用を宇治川高水敷で試みた。その結果、泥質堆積相の中に2列の砂州状地形が埋積されていることが同定できた。これら砂州間の低比抵抗帯は旧河道の可能性が高い。次年度に、詳細な継続調査を行う予定である。
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