研究概要 |
平成18年度に以下の成果を得た。 1.現地調査に基づく横ずれ断層系の形態ならびに周辺変形帯の実態把握 三浦半島城ヶ島にて現地調査を実施し,砂岩泥岩互層(三浦層群三崎層)内の横ずれ断層系はリーデルせん断,Pせん断などに相当する断層群から構成されること,鉛直断面においてフラワー構造が卓越することを明らかとした。 2.剛性三軸試験装置による実岩石を用いた拘束圧下での断層模型実験 河津凝灰岩の岩石板を用いて拘束圧下での載荷試験を実施し,岩石表面の破壊ゾーンはリーデルせん断・Pせん断・白色化した破砕領域からなること,断層変位の進行に伴って破壊ソーンは大きくなるが,高拘東圧では拡大が抑制される傾向が認められた。 3.横ずれ断層を模擬した低拘束圧下における小型断層模型実験 横ずれ断層変位の進行過程における断層系発達過程を3次元的に解明するため,模擬岩盤を用いた模型実験でヘリカルX線CTスキャナにより変形構造を観察した。地表面では,底盤の断層変位に伴い,リーデルせん断面群とPせん断群が発達し,さらなる変位により,リーデルせん断面群とPせん断群の連結部付近から新たなせん断面が分岐・発生して,リーデルせん断面分布域の外側へ伸展する傾向が認められた。鉛直断面内では,フラワー構造の他,基盤の断層から連続するせん断面が地盤表層部で分岐するカクテルグラス構造が観察された。 4.横ずれ断層変位に伴う周辺岩盤の変形・破壊形態に関する統一的解釈 以上から、水平面内(地表面)では,断層変位に伴ってリーデルせん断,Pせん断が順次発生すること,さらなる変位によって派生的なせん断が生じるが,これは岩盤特有の性質であり,断層分布域の幅を増大化する傾向にあること,一方,鉛直断面内では,リーデルせん断とPせん断の相対的な発達度に応じてフラワー構造とカクテルグラス構造のいずれかを選択するような変形帯となること,変形帯の幅は深部ほど小さくなること,などが得られた。
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