研究分担者 |
渡部 靖憲 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (20292055)
渡邊 康玄 北海道開発土木研究所, 河川研究室, 室長 (00344424)
泉 典洋 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10260530)
竹林 洋史 徳島大学, 工学部, 助教授 (70325249)
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研究概要 |
(1)鉛直2次元、非静水圧分布、非線形k-εモデルを用いた流れの計算と非平衡流砂量式を用いて河床波の発生、発達、移動を計算するモデルの開発を行った。この課程で、各種の乱流モデルの比較や、計算グリッドの違いによる計算結果に対する影響の検討も行った.計算モデルの検証は、既往の実験結果との比較で行い良好な結果が得られた,この結果、移動床開水路で河床材料と流量のみが与えられた場合の河床波抵抗と水位の予測へ向けた第1歩となった. (2)移動床上の底面砂の浮遊イベント発生時における砂-流体相互作用の統計評価を行うため,光学的特性を利用した固液両相の速度の同時画像計測法を開発し計測を行った.流体は底面近傍で上方へ向かう流れが卓越するが,砂はこれに追従せず形成されるデューンのクレスト方向へ移動する傾向があり,浮遊砂は流体に対してパッシブな挙動をとらない.移動床上では固定床と比べ境界層の剥離による力学的な影響が小さく,砂の浮遊に伴う流体の撹乱が乱れの生成の主要因である事,砂の浮遊はこの撹乱に伴い強化された渦の再付着が大きく関わっている事が明らかになった. (3)複列砂州のモード減少過程について,現象を理解することを目的として弱非線形解析を実施した.その結果,モード1の波とモード2の波の相互の干渉により単列砂州と複列砂州は同時に存在し得ないことを示すとともに,相互の干渉により2次のオーダーで他方の波が形成されることを示した.この結果は,モード減少により形成された単列砂州においても,形状として複列砂州の特性を残すという水理実験結果とも一致する結果を得た. (4)デューン-平坦床遷移過程で生じる流量と河床形態の間にヒステリシスは,デューン-平坦床遷移過程が亜臨界分岐であることに起因している.この従来の理論を浮遊砂が活発に生じる場合に拡張し,この場合もデューン-平坦床遷移過程は亜臨界分岐によって特徴付けられ,ヒステリシスが生じ得ることが明らかとなった. (5)表面流の発生に伴い形成される規則的な間隔を持った水路群の規則的パターンの形成に対する線形安定性理論を任意形状を有する斜面に拡張し,水路群形成以前の斜面形状に関わらず,水深の1000倍程度の間隔で水路群が形成されることが理論的に示された.また北海道宗谷岬において現地調査を行い,ガリの発達を支配するのは,水路頭部における表面流であることを明らかにした. (6)給水の非定常性と植生の繁茂が網状流路の流路本数及び流路の安定性に与える影響及び河床の一部が岩や粘性土で構成されている場を対象として砂州の動態について,水路実験及び数値解析により検討した.給水の非定常性と植生の繁茂により流路本数は減少し,流路は時空間的に安定することが明らかとなり,網状流路の流路本数は河床面の不安定性と植生繁茂の程度のバランスにより決定する.河床全体が非粘着性材料で覆われている条件よりも砂州の横断方向のモードが増加することが確認され,実河川の岩露出域において流路の網状化が良く見られることと一致する.
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