研究課題/領域番号 |
16360244
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田中 賢治 京都大学, 防災研究所, 助手 (30283625)
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研究分担者 |
中北 英一 京都大学, 防災研究所, 教授 (70183506)
戎 信宏 愛媛大学, 農学部, 助教授 (60176782)
市川 温 京都大学, 地球環境学堂, 助手 (30293963)
樋口 篤志 千葉大学, 環境リモートセンシング研究センター, 助教授 (90324384)
玉川 一郎 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 助教授 (40273198)
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キーワード | 積雪・融雪過程 / 土壌凍結・融解 / 連続観測 / 大気-陸面相互作用 / ARPS-SiBUC / 地表面加熱 / 水・熱収支 / 短時間予測 |
研究概要 |
1992年以来琵琶湖北東部の高時川流域で進められてきた水文・気象合同観測プロジェクトである「琵琶湖プロジェクト」がこれまであまり対象にしてこなかった冬季の水文過程に取りかかる上で、琵琶湖淀川水系の源流域に位置する余呉高原スキー場を観測サイトとして選定し、「暖候帯の多雪地帯」における積雪・融雪過程の実態把握とその知見を活かした陸面過程モデルの改良を目的として、積雪深や関連する微気象要素の連続測定を開始した。観測項目は積雪深、気温・湿度、風向・風速、日射量、土壌水分量プロファイル、積雪温度プロファイル、地中温度プロファイルである。 陸面過程モデルSiBUCに、地表面温度の予報における強制復元モデルの枠組みを維持しつつ(土壌モデルを多層化せずに)、土壌水分の凍結・融解の効果を導入した。現在はGAME-SiberiaのTiksiサイトのデータを利用したモデル開発の段階であるが、今後、本プロジェクトはじめ、様々な研究プロジェクトにおいて取得されたデータをもとに、冬季の水文過程の検証を進め、モデルの汎用性を高めていく。 大気陸面結合モデルARPS-SiBUCを用いて、熱収支特性や地表面粗度を変えた感度実験を通して、地表面過程が夏季の対流性降水に与える影響を詳細に検討した結果、日本の夏季のように周囲から豊富な水蒸気が供給される条件においては、陸面からの加熱(蒸発散の減少)がむしろ降水の強化につながる場合があることが示された。このような影響は一般風と局地風の微妙なバランスの結果もたらされるものであるが、特に陸面過程が軽視されがちな降水の短期予報においても、地表面の加熱や蒸発散を適切に表現できるモデルを導入する必要性があることを意味している。
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