研究分担者 |
田中 賢治 京都大学, 防災研究所, 助手 (30283625)
坪木 和久 名古屋大学, 地球水環境研究センター, 助教授 (90222140)
大石 哲 山梨大学, 医学工学総合教育部, 助教授 (30252521)
中川 勝広 独立行政法人・情報通信研究機構, 研究員 (80359009)
鈴木 善晴 宇都宮大学, 工学部, 助手 (80344901)
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研究概要 |
降雨の概念モデルをベースにした降雨予測モデルを,3次元ドップラーレーダー情報のエコー強度情報ならびにドップラー速度情報が4次元同化できるように発展させた.予測初期値の空間分解能が改善されたり,風速場の予測が改善されることにより,3時間先の予測結果が改善される等の結果を得ている.2004年の梅雨期に、雲解像モデルCReSSを用いて、沖縄・東シナ海域の毎日の予報実験を行なった。これにより梅雨期に発生する様々な降水システムをシミュレーションし、このモデルがどの程度正確に降水システムを再現できるかを調べた。実験では水平格子間隔5kmを用いたが、これにより前線に伴う降雨帯、積乱雲群の豪雨、梅雨前線帯の小低気圧、さらに台風などが概ねよくシミュレーションされ、観測と組み合わせることで現象の理解に有効であった.今後は,開発した同化手法とCreSSとの結合を図ってゆく予定である. 一方,新世代レーダーであるCOBRAの利用に関しては,データベースの整備をはかるとともに,二編波観測情報を用いた降水粒子の識別解析をスタートし,問題点を整理した.また,COBRAを用いて観測された台風T0310のZHHおよびZDRデータを3次元動画に可視化した上で,台風内部に発生している降水セルの発達過程および消滅過程に注目して解析を行い,内部降水セルの結合に伴う降水粒子の増大メカニズムについての仮説を立てることができた.一方,ドップラー風速を用いた水平風の収束発散の算定限界を調査した.さらに,非静力数値予報システム(CReSS)を用いて,T0310の3次元気象場を再現した. 水文モデルへの応用に関しては,表層の微細な起伏による流れや土中への浸透など、雨水挙動の物理過程を詳細に考慮した雨水流動モデルを構築した。具体的には、平面二次元地表流モデルと鉛直一次元飽和不飽和地中流モデルを結合するで、地表層付近の雨水流動を詳細に再現するモデルを開発した。本モデルを実験領域に適用したところ、モデルによる計算結果と観測結果は比較的良好に一致した。
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