研究分担者 |
黒沼 出 鹿島建設株式会社, 技術研究所, 主任研究員
今井 道男 鹿島建設株式会社, 技術研究所, 研究員
大西 有三 京都大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30026348)
西山 哲 京都大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (00324658)
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研究概要 |
本研究では,実際の岩盤崩落現場でデジタル写真測量を用いるために,その適用性を把握するとともに,実用するための課題を抽出し,岩盤計測への適用性向上のために必要なデジタル写真測量技術の高度化を図ることを目的の一つとしている.本年度は,次の2つの研究課題に対して実施した.すなわち,大きな対象物を限られた場所からの撮影で精度良く計測する方法の開発と,変位の原点となる基準点,不動点の設置が困難な状況下で変位検出を遂行するための方策の開発という課題である. 前者に関し,現場では計測対象物の大きさに比べて撮影可能範囲が狭く収束撮影が困難,すなわち観測ネットワークが弱い.また,コスト的,時間的に計測対象へのターゲット設置密度を大きくできない,撮影枚数が多くできない,等の理由で計測精度の低下するという問題点が上げられるが,それを解決する方法として,内部標定要素を事前にキャリブレーションすることに注目し,簡易的に高精度のキャリブレーションが可能な方法を開発した.これによって,廉価版のデジタルカメラでも計測精度を確保できる見通しが立った. 後者に関し本年度は,画像計測法を使って斜面の変位を検知するときの精度と感度を調べた.2つの時間のエポックで計測を行い,設置したターゲットが変位したか仮説検定を使って検知する。検知のための一連の式を導き,ターゲット座標の精度,観測の感度,観測の信頼性の3点から観測の網の強さを評価した.この方法の有効性を検証するため,模型実験を行った.1.1mx0.5mの大きさの斜面模型を作り,30mに付き2mm程度の変位を検知できる撮影形態を示した.その結果3箇所から4枚ずつ計12枚の撮影で十分実用的な精度、感度、信頼性が得られることが分かった.
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