研究概要 |
1 本研究では,メタン菌と比較して,低温でも高い活性維持が可能な硫酸塩還元菌に注目して,低温環境下での硫酸塩還元菌の有機物分解特性と排水処理への適用可能性について検討を行った。処理システムは,UASB(体積:10L)とDHS(スポンジ体積:13L)で構成した。DHSに用いた担体は,80本のスポンジ担体(3×3×17cm)を用い,格子状に積み上げる形式とした(充填率50%)。実験では,有機性の不凍液を用いた連続処理と微生物代謝活性の評価を行った。 2 UASBとDHSを組み合わせたシステムを用い,低温環境下で低温人工排水を供した連続処理実験を行ったところ、水理学的滞留時間HRT24hr、UASB温度8℃、硫酸塩濃度90mgS/Lの条件下でプロピレングリコール排水を供した結果,平均全CODは基質で445±64mg/Lに対し,最終処理水では29±9mg/L(除去率94±2%)が得られた。 3 システム全体のCODの分解寄与率は,硫酸塩還元利用,好気性利用がそれぞれ,29%,67%であった。有機物分解に好気性処理が大きく貢献しており,DHSの有効性が確認された。 4 HRT24hr、UASB温度8℃、硫酸塩濃度90mgS/Lの条件下で不凍液排水を供した結果,システム全体の除去率で93±5%を獲得した。よって本システムは有機性の不凍液に対して適用可能であると考えられた。 5 流入した硫酸塩は,UASBにおいて硫化物・チオ硫酸に還元され,DHSにおいて再び硫酸塩に酸化された。よって8℃の低温環境下で硫黄サイクルが行われていることが分かった。
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