研究概要 |
(1)新規低温廃水処理システムの開発:廃水処理システムは,低温環境下で、特に、硫黄サイクルの微生物の連携による有機物除去をねらう構成とした。前段嫌気槽と後段密閉式好気槽で構成した。前段で硫酸塩還元に伴う有機物除去を起こし、後段では硫酸塩還元の結果生成した硫化物を再び硫酸塩にまで酸化した。再生した硫酸塩を前段嫌気槽に循環し、再び有機物除去に役立てる仕組みが成り立った。 (2)廃水処理システムの運転特性評価:市販の不凍液薬剤,有機性融雪剤廃水,産業廃水,寒冷地域での生活系廃水等への開発処理システムの適用性を検討した。実用化のために必要な設計要件や、実用化した際のエネルギー消費、汚泥生成量等をスケールアップした実験装置を用いて検討した。 (3)硫黄サイクル微生物(硫酸還元菌、酸化細菌)の増殖特性とBOD除去の役割評価を行った。 (4)流出微生物汚泥の捕捉と減容化:嫌気性反応槽から流出する微生物汚泥を後段ろ床に捕捉し,自己消化によって減容化を図った。 (5)生物と基質の接触効率解析:保持生物と基質との接触効率向上を検討した。 (6)栄養塩・炭素系有機物同時除去フローの開発:後段好気槽によって,難分解性の有機物および栄養塩除去を行った。 (7)微生物保持技術(沈降促進技術)の検討:保持微生物濃度および沈降性の両者を高く保つ技術を検討した。 (8)実用化についての検討:本研究で得られた知見を,既存排水処理技術を比較・融合して,実用化のための設計方法を作成するとともに,パック化装置について検討を行った。
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