研究概要 |
本研究の目的は、地盤基礎構造物系の耐震性能評価手法の確立に必要な実証的研究を包括的に行い、特に非線形域における実用的な評価手法を提案することである。本研究計画では、これらを、実在構造物での観測、既存建物の加力実験、相互作用系の地震応答解析などによってあきらかにする。本年度は2004年10月23日に発生した新潟中越地震(Mj6.8)が発生したため,地震直後から1ヶ月にわたって研究目的に即した建物の被害調査および余震観測を行った.K-NET小千谷(小千谷小学校敷地内)の本震地震動観測記録は兵庫県南部地震における神戸海洋気象台(JMA神戸)の記録に匹敵するものであったが,この記録が得られた小千谷小学校の付近で観察された構造物,とくにRC学校建築の被害は,この地震動から計算される応答に対応するものとはいえず,総体として被害から推定される実際の応答は小さいレベルであったと判断される.そこで,建物での詳細な被害調査を行うとともに,K-NETと同様の観測条件である自由地盤面(FREE FIELD)と実際に構造物に入力された地震動(実効入力)の違いを特定することを目的にした余震観測を行った.観測位置は小千谷小学校敷地内の自由地盤(山羊小屋),3階建RC造校舎の1階とR階,対岸の東小千谷中学校付近の自由地盤(木造民家1階),4階建RC造校舎の1階と4階である.その結果,23日以外で最大余震である10月27日の余震以降の観測結果により,(1)自由地盤での地震動はお概ねK-NET地震動に対応すること,(2)これらに比べて建物1階での地震動は明らかに小さいこと(1/2〜1/3程度以下),(3)1階の地震動と4階の地震動は建物の応答特性に対応すること,(4)地震動の被害はK-NET本震よりはかなり小さい地震動に対応すると推定されること,などを明らかにした.
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