研究課題
基盤研究(B)
鉄筋コンクリート構造物の耐久性改善手法として、各種の脱水工法が考案され、建設現場での施工やコンクリート2次製品工場での製品製造工程で実用されている。これらの工法は、材料内部の品質分布を理想的に変化させる事により、材料の持つ潜在能力を生かしきるという意味で、非常に効率の良い方法であり、今後、さらに広範囲な適用が進むことが期待される。本研究では、真空脱水工法を中心に各種透水・脱水工法によるコンクリートの品質改善効果の定量的な把握とそのメカニズムの解明を試みた。以下に、その結果の概要を示す。(1)コンクリート中の自由水の挙動の解明コンクリート中の自由水の挙動を把握することを目的として、硬化コンクリートの品質に大きく影響する自由水の移動状況を可視化する手法を考案した。実験の結果、自由水の移動状況はコンクリート内部の水みちの影響を大きく受けることが明らかとなった。(2)圧密理論を用いた真空脱水工法の脱水メカニズムの解明真空脱水処理工法を、大気圧による圧密現象と仮定し、真空脱水処理による脱水挙動のモデル化を試みた。真空脱水処理時のコンクリート内部の間隙水圧分布の測定、および真空脱水処理されたコンクリート中の各成分の分布を計測した結果を基に、真空脱水処理による品質改善効果の推定手法を提案した。(3)真空脱水処理過程におけるコンクリート中の空気泡の挙動の解明真空脱水処理時には間隙水圧が減圧されるため、コンクリート内部の気泡が膨張し、このことが硬化コンクリートの品質に影響を及ぼすことが予想される。このため、可視化モデル材料を用いて真空脱水処理時のコンクリート中の気泡の挙動を観察した。その結果、真空脱水処理を長時間継続した場合には、コンクリート内部の空隙が増加する可能性があることが明らかとなった。(4)ブリーディング層を考慮した3次元FEM解析ブリーディングによる供試体高さ方向の強度変動を考慮した一軸圧縮破壊解析を行った。
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