研究課題
基盤研究(B)
木材試験体を用いた腐朽実験に関し、木材含水率の変動、温湿度、樹種などに着目し、実験条件や手法を検討するため、以下の調査・研究を実施した。(1)板材の雨水による含水、腐朽に着目した実験を行っているForintek Canada Corp.を訪問し、既往の実験結果の収集、実験手法・耐久性予測手法の構築方法、試験体の選定等について意見交換を行った。(2)奈良県森林技術センターを訪問し、木材の腐朽度合いを判定するための非破壊検査方法、樹種の選定等について情報収集した。(3)ドイツ、フラウンホーファー建築物理研究所を訪問し、材料とカビの育成条件の関係、壁体の耐久性試験等に関する情報を収集した。(4)木材の腐朽度合いを非破壊で把握する試験方法について情報収集、検討を行い、今後の実験計画を立案した。(5)寒冷地、温暖地の各種断熱壁体の熱・湿気性状に関する数値シミュレーションを行い、追加する実験環境条件を検討した。(6)6種の環境下でツガ、スギ等を対象に実験を行い、破壊試験により腐朽度合いを把握した。この実験は、木材の含水率が定常の場合、非定常の場合の実験である。定常実験ではスギ辺材、ベイマツ、ベイツガの試験体を27℃85%RHの環境下に置いた。実験の結果、スギ辺材では400日以降腐朽が発生したが、ベイマツ、ベイツガでは約2年間の実験期間では腐朽を生じないというデータを得た。非定常実験ではベイマツの試験体を26℃70%RH・27℃95%RHの周期変動条件下に置いた。この実験では実験開始後2年を経過しており試験体表面にカビの発生が確認できるが、明確な腐朽は生じていない。この実験は今後も継続する。(7)既存住宅における実測結果より、居住者が実際に生活している状況での室内温湿度性状を解析し、躯体内部の熱湿気性状を計算する際の境界条件を整理した。また、得られた境界条件を考慮した、壁体モデルに対する実験室実験とシミュレーション計算を行い、壁内湿度の分布特性に関する検討を行った。(8)木質ボードの腐朽現象を強度的な観点から定量化するために、その比較対象となる初期強度を測定した。今回は構造用合板(シベリア産カラマツ)、OSB、MDFについて主に初期曲げ強度性能を把握した。
すべて 2005 2004
すべて 雑誌論文 (6件)
THE INTERNATIONAL RESEARCH GROUP ON WOOD PRESERVATION (CD-ROM)
日本建築学会 2004年度大会梗概集 D-2
ページ: 471-472
ページ: 327-328
ページ: 329-330
ページ: 491-492
空気調和・衛生工学会学術講演論文集
ページ: 1319-1322