研究概要 |
本研究では、富山県の砺波散村を対象にして、環境共生の「知恵」を科学的に明らかにした上で、そこで得られた知見を環境教育に応用することを目的とした。そのために、身近な生活空間から地域スケールまでの環境共生の知恵を読み解き、得られた知見から中学生にも理解できるような環境教育用教材を開発することに取り組んだ。 まずリモートセンシングデータを用いた分析から、砺波平野の土地被覆分布と季節変化を把握した。また表面温度分布図から、砺波平野で顕在化しつつあるヒートアイランド現象を把握すると共に、夏季に水田がヒートアイランド緩和機能を発揮していること、海側(北側)と山側とでは気候に違いがみられ、そのために冬季の融雪状況が異なっていることなどが示された。夏季の現地観測からは、市街地を取り囲む水田上の冷涼な空気が幹線道路を通じて市街地に流入することにより市街地中心部の気温が低減されること、市街地に内包された小規模水田上を風が吹くことにより風下側の気温が低下することなどが示された。散居屋敷林を対象に、熱・気流連成解析手法を用いて散居内建築外部空間における微気候を評価した結果からは、屋敷林によりクールスポットが形成されていることが示された。 国際的な環境教育の動向及び国内の関係法制度や学習指導要領の検討から,環境教育において一般的に目標とすべき項目を抽出した上で,上記の研究を通じて得られた知見を,いかに教材に応用できるかについて検討し,教材案を作成した。さらに、教材案をもとに、砺波市の教育担当者ならびに地元中学校の教師と中学校における環境教育実践に向けた協議を行い、中学生向けの環境教育用教材を開発した。
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