本研究は、コミッショニングあるいはソリューションが主たるテーマであるが、同時にそれを実現する手段としての通信を含めたツールであるソリューションシステムそのものも研究テーマに含まれる。 1.学外の建物4カ所と通信回線で結び、3つの異なる通信方式によって、建物の運転データを入手するシステムを構築した。4つのシステムは以下の通り。 1)東京Tビル:研究代表者が長年開発に携わって来たTSC21によるオープンな通信システム。 2)島田Sビル、鈴鹿Zビル:E-mailによる通信システム(実測データを添付ファイルで通信する) 3)名古屋Nビル:既存BEMSにTSC21を設置し、ダイヤルアップでデータをオンラインで入手する。 それぞれ異なる通信システムの比較を行った。最も理想的なのは1)のTSC21である。 2.以上の通信システムを構築して4つのビルから運転データを得て、次の3つの特徴あるソリューションテーマについて研究した。 1)氷蓄熱システムの性能分析 氷蓄熱システムの蓄熱効率、電力の夜間移行率、水温変化から蓄熱運転の最適化の可能性分析、熱源のCOPの分析などを行った。 2)建物内の目的別エネルギー消費量の詳細分析 60系統以上の詳細な電力消費量が計測されている。これらの実測値から、目的別(空調、熱源、照明、OA、その他)の時刻別パターンを分析すると共に、設計容量から、全負荷運転時間などを分析した。 3)全熱交換器の性能分析と運転の最適化 有力な省エネルギー手法でありながら、これまでほとんど知られていない全熱交換器の実態としての性能分析を行った。また、これに基づき最適な運転方法のための基礎分析を行った。 3.学内の建物における氷パッケージシステムについて実測を行い、コミッショニングの視点で、性能評価の研究を行った。
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