本研究は、コミッショニングあるいはソリューションが主たるテーマであるが、同時にそれを実現する手段としての通信を含めたツールであるソリューションシステムそのものも研究テーマに含まれる。 1.学外の建物と通信回線で結び、建物の運転データを入手し、省エネルギー性能の研究を行った。 1)東京Tビルにおける年次別エネルギー消費量の分析 過去に蓄積されているデータを基に、年次別の気象の変動と、人為的な省エネルギー活動によるエネルギー消費量の分離評価を行った。 2)名古屋Nビルにおける全熱交換器の実測に基づく性能分析と最適運転制御システムの開発 Nビルと同社の奈良のセンターとを結び、遠隔で監視、データ取得するシステムに切り替えた。外部にはセキュリティーの関係で同社のセンターを介した間接的なデータ取得になった。 今年度は、盛夏時を含むデータで分析し、より高い精度で性能分析を試みた。 また、新たに最適運転制御システムを開発した。これは、従来のように予め決められたスケジュールで運転するのではなく、負荷および気象状況に応じてきめ細かく最適に制御するものである。まず、その効果をシミュレーションによって予測した。なお、運転データは制御システムのチューニング段階であるため予備的な分析に留まった。 2.ソリューションシステムの開発 省エネルギーセンターのエネルギー診断プログラムである原単位ツールのうち、シミュレーションに関する部分の開発に協力した。 3.分散型空調システムの継続的性能検証 学内の講義棟建物の氷パッケージシステムについて継続的な実測を行い、その実測データによって運転性能の評価方法について検討した。分散型空調システムは、負荷を直接計測することが困難であるが、その他の周囲状況のデータから運転性能を推定する方法を試みたものである。 4.オブジェクト指向の通信システムのプロトコルの検討 現在、TSC/comは、プロトコルとしてHTTPを利用している。これはfire-wallの透過性がよく、一般的にはセキュリティの問題も生じない。ただし、完全では無いため、更にセキュリティの高い方式の検討を行った。
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