研究課題/領域番号 |
16360298
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
瀬戸口 剛 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (20226674)
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研究分担者 |
小林 英嗣 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70002003)
佐藤 滋 早稲田大学, 理工学部, 教授 (60139516)
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キーワード | 北方都市圏 / 都市デザイン / 積雪シミュレーション / 風雪インパクト / 札幌都心部 / 高層建築 / 中層建築 / 風洞実験 |
研究概要 |
本研究の今年度の目的は、冬季の積雪が深刻な札幌市の都心部において、高層建築と中層建築による開発の周辺環境に与える風雪のインパクトについて、大型風洞実験による積雪シミュレーションを行い明らかにし、都市デザインに関する新しいアプローチを開発するものである。 大型風洞実験装置は北海道立北方建築総合研究所の粉体風洞施設を用いた。積雪シミュレーションを行った対象地区は札幌都心部の創成川東側で、300分の1の模型を用いて積雪シミュレーションを行った。積雪シミュレーションには、気象庁の札幌管区気象台で観測した過去5年間の気象データ(1999-2003)を採用した。 積雪シミュレーションでは、以下の開発タイプにおける、街区内のオープンスペースや地区内の街路での風雪のインパクトを明らかにした。(1)地区の開発を高層建築(15階建て)中心に行った揚合の。(2)地区の開発を中層建築(8階建て)中心に、インフィル開発を行った場合。両者の街区内容積率(街区内の延べ床面積)は同じである。 その結果、つぎの点が明らかになった。(1)高層建築を中心とした開発では、高層建築の周辺にある空地や周辺街路上に大量の雪の吹き溜まりが発生し、屋外の風雪環境が悪化する。(2)中層建築を中心とした開発では、街区内の中通や周辺街路での雪の吹き溜まりは比較的少なく、屋外の風雪環境はさほど悪化しない。これらの結果より、都心部であっても中層建築を主体に開発する方が、風雪による吹き溜まりが少なくなり、冬季の屋外環境は比較的良好であることが明らかになった。 本研究のように、都市の積雪シミュレーションを行った研究は、日本の都市デザイン研究において初めての試みであり、北方圏における新しい都市デザインを開発するためにさらなる展開が望まれる。
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