本研究は、スケルトン・インフィル方式に「まちづくりとの連携」という現代的価値観を取り入れ、スケルトン・インフィル方式によるまちづくりとの連携という視点から、第一に、同プロジェクトにおける合意形成プロセスの分析、第二に、オープンビルディングの主導者の一人、N・J・ハブラーケンMIT名誉教授による「Tissue method」理論を応用することによる空間構造のパターンの分析、第三に、まちづくりと連携したスケルトン型集合住宅の合意形成支援システムの開発を行なうことを目的とする。 今年度の研究実績は、住民・企業・行政のパートナーシップによる「地域共生の土地利用検討会」を組織し、周辺地区環境を考慮したスケルトンに対する合意形成を行い計画されたスケルトン賃貸型集合住宅「京都Aプロジェクト」が立地する京都の職住共存地区を対象として「地域共生の土地利用検討会」の合意形成プロセスを一般化するための条件を検討し、まちづくりと連携したスケルトン型集合住宅の計画における合意形成支援システムとして価値共有型建築規制・誘導システムを構築した。システムの構築にあたっては、2007年3月に、京都市において高さ規制・デザイン規制・屋外広告物の規制が見直された条例が成立し、職住共存地区の高さ規制については従来の31mから15m、幹線道路沿道地区では45mから31mに引き下げられることを視野に入れた検討を行った。さらに、このシステムに基づいて、京都の職住共存地区を対象として「Tissue method」の理論を応用した敷地内の建物と空地の関係についての分析を行った上で、敷地内の建物と空地の関係についてのルールに基づいた景観シミュレーションを行った。
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