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2005 年度 実績報告書

都市中間層における住宅条件の構造再編

研究課題

研究課題/領域番号 16360302
研究機関神戸大学

研究代表者

平山 洋介  神戸大学, 発達科学部, 教授 (70212173)

キーワード中間層 / 住宅条件 / 住宅所有 / フィルタリング・システム / 住宅政策 / 住宅市場
研究概要

都市中間層の住宅条件がどのように再編されようとしているのか、を明らかにするために、昨年度に引き続き、住宅市場の動向に関する統計分析を続行し、中間層へのアンケート調査の結果に関して分析を深め、とくにフィルタリング・システムにおける「資源」配置と「梯子」設計に関する知見を得ようとした。また同時に、住宅政策の再編実態に関する資料を集め、その中間層への影響を分析した。その結果、以下のような結論を得た。
(1)住宅履歴の内容がコーホートによって大きく異なることがわかった。とくにベビーブーマーとベビーバスターの差異に注目すると、前者はバブル経済のピークまでに住宅を購入し、その後の資産デフレは小幅であったのに対し、後者はバブル経済のピーク時に持家を取得し、大幅な資産デフレに見舞われている。
(2)世代が若くなるほど、持家市場に参入する時期が遅れ、その背景には、雇用・所得の不安定化、単身者・未婚者の増加、初婚年齢の上昇、といった社会・経済条件の変化があることがわかった。「梯子」の構造はコーホートによって大きく異なっている。
(3)住宅政策における重要な変化は住宅金融公庫の廃止である。若い世代は公庫融資を用いることがありえず、市場での資本供給を利用せざるをえない。また企業による持家取得援助も縮小傾向を示している。住宅取得を支える「資源」配分のあり方は大幅に変化した。
(4)他方において、若いコーホートでは親の持家の相続可能性が高まっている。出生率の低下、親世代の持家率の高さなどが要因である。また親世代による生前贈与が子どもの持家取得のあり方に影響し始めている。
(5)こうした点から、持家取得の「梯子」のための「資源」供給のシステムは、政府と企業社会を中心とするシステムから、市場と家族を基軸とするシステムに移行する途上にあると考えられる。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2005

すべて 雑誌論文 (4件)

  • [雑誌論文] Running Hot and Cold in the Urban Home-Ownership Market : The Experience of Japan's Major Cities2005

    • 著者名/発表者名
      Yosuke Hirayama
    • 雑誌名

      Journal of Housing and the Built Environment Vol.20 No.1

      ページ: 1-20

  • [雑誌論文] 公営住宅制度の変容とその意味2005

    • 著者名/発表者名
      平山 洋介
    • 雑誌名

      都市問題研究 57巻4号

      ページ: 71-84

  • [雑誌論文] The New Dynamics of Housing and Urban Fragmentation : Feeling the Effects of Globalisation in Japan2005

    • 著者名/発表者名
      Yosuke Hirayama
    • 雑誌名

      Housing and Globalization(Asia-Pacific Network for Housing Research (ed.))

      ページ: 39-51

  • [雑誌論文] The Governance of Urban Renaissance in Tokyo : Globalisation, the State and the New Competitive Agenda2005

    • 著者名/発表者名
      Yosuke Hirayama
    • 雑誌名

      Changing Governance and Public policy Paradigms : Asian Perspectives(Sun Yat-Sen University et al. (eds))

      ページ: 167-186

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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