研究課題
基盤研究(B)
戦後日本の住宅システムは中間層による住宅所有の促進を基軸手段としてきた。政府の住宅政策による持家取得の拡大、企業による住宅関連の福利厚生制度、家族資源による住宅取得支援などの一連の資源が中間層の住宅改善を支えた。多くの人びとは借家から持家へ、マンションから一戸建て住宅へ、というフィルタリングの「梯子」を登った。しかし、住宅価格の下落と不安定化、持家におけるキャピタルロスの発生、企業の福利厚生制度の縮小、世帯形態とライフコースの多様化、住宅政策の市場重視への転換など、中間層の社会・経済・政策的な住宅条件は構造再編の時期を迎えている。本研究は中間層の住宅条件の再編実態を明らかにするために、大都市住宅市場の価格変動の調査、住宅履歴に関するアンケート調査、住宅政策の動向についての調査などを実施し、以下のような知見を得た。(1)中間層の住宅履歴には世代によって大きな差異がある。ベビーブーマー世代に比べ、それに続くベビーバスター世代では、バブル期に住宅を購入した世帯が多く、バブル崩壊によって多量のキャピタルロスを抱えるに至った。(2)より若い世代ほど、結婚・世帯形成が遅く、雇用条件が不安定化していることから、持家市場への参入が遅れる世帯が多い。また未婚単身世帯、親の家にとどまる未婚者の増加などによって、住まいの「梯子」のあり方の変化が促されている。(3)中間層の住宅条件には、社会・経済条件に加えて、住宅政策の転換、及び企業による住宅関連施策の縮減が大きく影響した。若い世代は住宅金融公庫と企業からの融資を期待できず、市場から資本を調達せざるを得ないため、その信用力に応じて異なる住宅履歴を描くと考えられる。
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