研究課題/領域番号 |
16360304
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
野村 みどり 東京電機大学, 情報環境学部, 教授 (80180785)
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研究分担者 |
木之瀬 隆 首都大学東京, 健康福祉学部, 準教授 (10214850)
徳永 亜希雄 独立行政法人国立特殊教育総合研究所, 研究員 (10359119)
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キーワード | 特別支援教育 / 個別の教育支援計画 / ICF(国際生活機能分類) / 天井走行リフター / 移乗 / 肢体不自由養護学校 / インクルーシヴ教育 / 福祉用具 |
研究概要 |
2004年8月、ノルウェー、デンマークの補助器具センター、学校、住宅等の調査を実施した。インクルーシヴ教育が推進されているノルウェーでは、肢体不自由養護学校の教室、トイレ、プール、更衣室のみならず、肢体不自由児が就学する小中学校においても、休憩室やトイレには天井走行式リフターが導入され、補助器具センターのOT等がその適合・調整の支援を行っていた。インクルーシヴ教育に対応する教育環境のデザインと天井走行リフターの設置・活用方法、住宅と学校のアダプテーション等について全般的な実態を把握できた。これらの調査から、学校における環境面からのアプローチが重要であることが示唆された。 一方、実際の日本の養護学校における環境面からのアプローチを検討することを目的として、千葉県立桜ケ丘養護学校の教室とトイレに天井走行式リフターを導入し「抱っこによる移乗」の改善を試みた。研究方法はリフター未使用時と使用時の動作分析を行い、時間的条件・安全性・身体的負担について分析を行った。結果として、今回の事例では特に安全性・身体的負担に有効であった。今後の課題としては、教諭側のリフターに対する認識を高め、「個別の指導計画」の中にリフター活用を明確に位置づけていくこと、関連職種によるリフター適合・調整に関する支援体制整備などが挙げられた。 これらの結果から、障害のある子どものニーズへの対応を重視する特別支援教育を推進するためには、本人に内在する力を高めるだけでなく、環境面からのアプローチが重要であることが確認された。また、子どもの生活を広く理解し、支援していくためには、WHOのICF(国際生活機能分類)の視点から「個別の教育支援計画」を作成・活用し、教員だけでなく福祉機器や建築等の専門家との連携が重要だと考えられる。
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