研究課題
基盤研究(B)
平成16年度から平成18年度の3ヵ年にわたって共同研究者が開発した超高速カメラを現有の超高圧電子顕微鏡及び電界放射型分析透過電子顕微鏡に接続するための光学系及び実験手法などを開発し材料科学における高速現象を明らかにするために主たる研究を行った。平成18年度は、SiC/SiC複合材料の照射欠陥やクラック進展に関して高速観察を行った。更に3ヵ年計画の最終年度としてこれまでの成果を基に総まとめを行った。総合的に評価すると当初の目標に対して実験の進捗が計画通り進まなかったこともあり達成度は70%程度と推測されるが本研究の目的は十分明らかにしたと考えられる。また、ドイツにおいてレーザーを金属固体に照射し高強度な庵子を発生させる新しい概念に基づくパルス電子光源の開発がなされた。この電子源を改良し通常の電子顕微鏡の電子銃と交換した新しい電子顕微鏡が米国にて開発され、平成18年9月に札幌にて開催された国際顕微鏡学会にて報告された。既に材料科学のいくつかのトピックスに関して研究がなされており口頭やポスターでの発表があった。本研究は、一般的な連続して電子を発生する熱電子源及び電界放出電子源を使用しており、画像情報記録媒体側を高速記録型のCCDにすることで超高速化を狙っているのに対し米国の装置は、電子源をパルス化して記録側は通常の記録装置である。つまり、ストロボ的に高速現象をコマ取りして一連の高速現象を理解するという考え方である。しかしながら、ある現象の起点を知るためにはわれわれの方式の方に利点があり今後の展開が期待される。以上、国際的に見ても本研究はこの分野において先端領域に位置づけられ今後継続してプロジェクト研究を進めるべきである。また、3ヵ年に渡る本研究を通じて新たな課題が見つかったことから次のプロジェクトに向けて準備が整ったといえる。
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