研究課題
基盤研究(B)
本研究では色素増感太陽電池システムのエネルギーフローに注目し、屈折率の異なる媒質により構成される表面・界面に新しいメゾスコピック凹凸構造を導入した場合の光学特性について検討した。検討した構成要素は、空気/ガラス/ITO透明導電膜/色素吸着TiO_2層における表面・界面、及びPt対向電極である。成膜は全て高周波スパッタリング法により行った。反射率・透過率等は紫外可視近赤外分光光度計により測定し、これを基に各媒質の屈折率を評価した。また表面凹凸はプローブ顕微鏡により定量評価した。これを必要に応じて変形して界面構造として用い、実験的に求められた媒質の屈折率と合わせて3次元有限差分時間領域(FDTD)法により表面・界面の光学特性を計算・評価した。各界面にメゾスコピック凹凸構造を導入することで以下のような太陽光エネルギー損失(波長範囲:0.4-1.0μm)の低減の効果が得られることが分った。すなわち、空気/ガラス界面で3.6%、ガラス/ITO界面でo,5%、ITO/色素吸着TiO_2界面でo.5%の反射率の減少が確認された。単純にこれらを加算してみると、5。8%の光エネルギー反射率を1.2%まで4.6%もの効率化が可能であることを示している。Pt対向電極の下地に平坦A1膜を用いることで鏡面反射率はPtのみの場合よりも増大することが、また凹凸を付与することで拡散反射率が増大することが確認できた。また、A1-N膜は水熱反応により透明化することができガラス基板上では反射防止膜として、あるいはメゾスコピック凹凸構造を有する透明基材として有用であることがわかった。以上、本研究により、色素増感太陽電池の積層界面ヘメゾスコピック凹凸構造を導入することが光エネルギーの反射による損失抑制に有効であることが明らかとなった。
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Japanese Journal of Applied Physics 45 ・ 10A
ページ: 7784-7788
Japanese Journal of Applied Physics 45 (10A)
Materials Transactions 46・12
ページ: 3037-3043
Materials Transactions 46(12)
ISES Solar World Congress 2005 Orland, U.S.A., Proc.,(Eds. D. Y. Goswami et al.)( Peer-reviewed Paper)
ページ: 4
ISES Solar World Congress 2005 Orland, U.S.A., Proc. (Peer-reviewed Paper) (Eds.D.Y.Goswami et al.)