研究概要 |
本研究においては、C32型構造を有する三元系シリサイド及びその関連物質の合成及びその物性評価を行った。C32型構造を有する三元系シリサイドに関する研究としては、CaGaSiにおける元素の置換効果、LaAl_<2-x>Si_xの合成および物性評価を行った。LaAl_<2-x>Si_xは、0.14=x=0.62でC32型構造をとることが明らかになった。C32型構造が存在するxの範囲は従来報告されているものよりも広い。2〜300Kの温度範囲での電気抵抗測定の結果、C32型LaAl_<2-x>Si_x(0.14=x=0.62)が金属的な伝導を示すことがわかった。しかしながら、これらはこの温度範囲で超伝導を示すことはなかった。関連物質としてはCaAl_2Si_2とSrSi_2に注目し、それらの合成と電気抵抗率、ホール係数の温度依存性を測定した。また、SrSi_2については電気抵抗の圧力依存性も求めた。更に、Siより一つ原子番号の大きいP化合物である充填スクッテルダイト化合物La_xRh_4P_<12>の合成及び超伝導特性の評価(電気抵抗測定、磁化測定、比熱測定)を行った。La_<o0.8>Rh_4P_<12>はベルト型高圧発生装置を用いて9.4 GPa,1473Kの高圧・高温下で合成した。磁場下での電気抵抗測定により、上部臨界磁場H_<c2>、ギンツブルグーランダウコヒーレント長をそれぞれ167kOe、4.41nmと決定した。更に比熱測定を行い、電子比熱係数及びデバイ温度を25.1mJ/molK^2、459Kと決定した。Tc、デバイ温度、マクミラン方程式を使用して見積もられた電子-格子結合係数は約0.7である。この値はLa_<0.8>Rh_4P_<12>が中程度の結合を持つ超伝導物質であることを意味している。
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