研究課題/領域番号 |
16360321
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
増本 博 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (50209459)
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研究分担者 |
後藤 孝 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (60125549)
木村 禎一 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (10333882)
宮崎 英敏 島根大学, 総合理工学部, 助教授 (60344719)
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キーワード | チタニア / 電子サイクロトロン共鳴 / ECRプラズマ / MOCVD法 / 化学気相析出法 / ナノコンポジット膜 / 低温合成 / 有機金属錯体 |
研究概要 |
本年度は、Zr-ヘキサフロロアセチルアセトネート(Zr(Hfac)_4)を原料としたECRプラズマMOCVD法によりジルコニア膜の低温成膜をおこなった。成膜に先立ち、ECRプラズマMOCVD装置を改良し、液体原料を供給できる気化器を装備した。基板温度、μ波出力などの合成条件と得られた膜の結晶構造、微細組織、成膜速度との関係を調べた。 石英基板上に基板温度=900℃および700℃で作製した膜では大きなクラックが観察された。これは基板と膜との熱膨張差によるものと考えられる。基板温度=400℃以下の膜では、クラックは認められなかった。膜には100nm以下の大きさの粒が認められた。μ波出力=900Wにおいて、基板温度=500℃以上では成膜したジルコニアは立方晶および正方晶ジルコニア混相であった。基板温度=400℃以下では立方晶、正方晶および単斜晶ジルコニアが生成した。基板温度の減少にともないピーク強度の減少およびピークのブロード化がみられたが、水冷した基板上においても立方晶および単斜晶ジルコニアが生成した。石英基板を水冷し、μ波出力=900W〜300Wで作製された膜は、立方晶および単斜晶ジルコニアであった。μ波出力の減少にともないピーク強度は減少した。μ波出力=0Wでは、基板以外のピークは認められなかった。即ち、ECRプラズマを印加しない熱CVDによる成膜では、基板に膜が成長しなかった。このことよりECRプラズマがジルコニア膜の成長および結晶化に大きく寄与していることが分かる。ジルコニア膜の成膜速度は基板温度の増加およびマイクロ波出力の増加にともない増加した。 本年度は、本研究申請の大きな目的の一つである、クラックのない結晶化ジルコニア膜を基板過熱せずに成膜することに成功した。
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