研究課題
基盤研究(B)
球状光共振器は、強い光閉じ込め効率(Q値)によりその内部において光と材料の相互作用を極限まで高めることが可能と期待されている。1.微小球の励起・読みだし技術の検討を行った。(1)シングルモード光ファイバーを曲げた状態で固定化し、研磨してコア部を露出させることにより光カップラーを作製した。カップラー研磨部に高屈折率(n_D=1.93)のガラス球(粒径:20-30μm)をマニピュレータを用いて接触配置し、Arイオンレーザー(波長514.5 nm)により励起して共振光の測定を行った。光導入に用いた光ファイバーのラマン光に由来する光共振とガラス球の励起によるラマン光共振の2つの異なる共振状態が出現することを見いだした。(2)ガラス微小球に低屈折率の被覆を施す技術を開発し、励起に最適な構造を探索、検討した。高屈折率なガラス微小球(n_D=1.93、粒径30μm)にハイブリッド膜(n_D=1.49)を被覆し、被覆層の一端を平面にする「テラス構造」を提案・作製した。ラマン光励起実験を行い、テラス構造の基部にレーザー光を照射することにより、特異的に共振光を強めることに成功した。この手法により被覆した光共振用ガラス球において、誘導ラマンの発振を実現した。2.ナノ粒子を添加した微小球を作製のため、その作製方法を検討した。半導体ナノ粒子(ZnO)の合成プロセスを改善した。ガラス微小球の被覆層にナノ粒子を添加するため、高濃度にZnOナノ粒子を含有するハイブリッド膜の作製を検討した。既報の作製方法の約100倍の濃度で安定なナノ粒子の作製を行プロセスと、膜に添加する際にアミノ系安定化剤の添加により膜中でナノ粒子が安定化することを明らかにした。
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