研究課題
基盤研究(B)
平成16年度は強誘電体薄膜のナノパターニングが可能な自己組織化膜(SAM)の開発を主なテーマとして、以下の研究計画を推進した。(1)C系で側鎖にFと金属親和性の基を同時に持つ自己組織化膜用前駆体溶液の開発を試みる。具体的には、側鎖へのチオールの導入を試みる。また、紫外線の照射によるパターニングを容易とするような官能基の主鎖への導入も不可欠である。主鎖のCの数は、極性を考慮して比較的数を多くする。そして、主鎖のCの数と側鎖のFの数の違いによるパターニングサイズの限界を調査する。(2)上述の方法でパターニングした強誘電体薄膜の電気特性を評価し、特性発現に必要であれば多層回のコーティングが可能となる自己組織化膜の開発を試みる。(3)パターニングが数十μm以下のセルサイズで可能となった場合、そのマイクロアレイの強誘電特性や圧電特性を研究経費で購入した強誘電特性評価システムと既存の走査型プローブ顕微鏡(SPM)と組み合わせて評価する。その結果、PZT薄膜系において、SAMを用いたマイクロパターニング方法を確立した。また、この様にして形成したPZTマイクロパターンの強誘電特性を測定し、パターニングしていないPZT薄膜とほぼ同等の特性が得られることを明らかにした。さらに、電気特性改善のために強誘電体薄膜で一般的なペロブスカイト化合物のエピタキシャル的な成長がCSD法を用いた場合でも可能となることを明らかにした。パターニングしないPZT薄膜については、SPMを用いた圧電特性などの特性評価方法を確立し、ナノセンサー作成後の評価を行うための基礎研究を行った。その結果、薄膜の圧電特性を正確に評価する手法を確立した。
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