本研究では、化学溶液法(CSD法;Chemical Solution Deposition)によりSi基板上に強誘電体薄膜および酸化物電極薄膜あるいは有機薄膜を複合的に形成し(ハイブリッドインテグレーション)、人体の複数の感覚を代替するスマートナノセンサーを開発することを最終目的とする。具体的には、厚さが数百nmでサイズが数十〜数百μmの強誘電体薄膜パターン、電極薄膜あるいは多孔質薄膜を分子設計された化学溶液からSi基板上に形成し、その誘電・圧電・焦電あるいは強誘電特性を利用する。そして、Si基板上に高性能強誘電体薄膜や多孔質薄膜の微細なパターンを形成し、数十〜数百μmの複数のパターンの情報から人体の五感の複数の機能を代替できるスマートセンサーを開発する基盤研究を目指す。この目的のため、まずSi基板上に電極および強誘電体薄膜をCSD法により積層させ、さらに有機薄膜の自己組織化の手法を用いてマイクロパターンを形成し、その誘電・圧電・焦電あるいは強誘電特性を評価することから研究をスタートする。そして、初年度は自己組織化の手法による強誘電体薄膜のマイクロパターンの形成方法を開発する。次年度は、Si基板上に形成したハイブリッド薄膜のマイクロパターンの特性を評価する。このためには、高性能SPM(すでに本研究室で購入済み)によるマイクロパターンの特性評価が不可欠である。最終年度は、バックエッチなどによりSi基板上に形成した厚さ数十〜数百μmの振動板などの上に、強誘電体薄膜や多孔質薄膜などのハイブリッド薄膜のマイクロパターンを形成し、実際のセンサーとしての特性評価を試みた。
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