研究課題
基盤研究(B)
Branson model 450ホモジナイザを用いて、o-ジクロロベンゼンに超音波照射すると、透明な液体は短時間で黄色に着色した。更に照射時間を延ばすか、照射開始時に微量の固体粒子を添加すると、着色は著しくなり、黒い析出物が生じた。この反応プロセスについて、得られた基礎的知見を以下の通り要約する。1.長時間の超音波照射で得られた粒子は丸みを帯びた結晶質のナノ粒子で、電子線回折の結果よりグラファイトであった。2.グラファイト粒子を分離した上澄みの着色溶液と原料の赤外吸収スペクトルを比較したところ、ほとんど差はなく、着色生成物の反応率は低いものと推察された。着色溶液を濃縮して再度スペクトル測定に供したところ、C-H結合よりもC-Cl結合が優先的に開裂していることが示唆された。更にメチル、メチレン基の生成が認められたことから、ベンゼン環自体もソノケミカル処理によって開裂していることが分かった。3.沈殿物の黒色固体を透過型および走査型電子顕微鏡にて観察したところ、粒状、板状、針状など様々な形態のものが得られた。4.CoおよびNi金属粒子を同時添加するとナノレベルの粒状粒子と針状粒子が得られた。針状粒子は中実で、電子線回折から非晶質と判断された。この粒子に電子線を強く照射すると変形したことから、ここで生成した物質は重合度の低い炭素化合物であり、ソノケミカル反応場にて紡糸的に生成したものと推察された。
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Proceedings of the 10th Asia Pacific Confederation of Chemical Engineering (APCChE) Congress 2004
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