研究課題
本研究では、ベンゼン誘導体等の有機化合物の特殊なソノケミカル反応により主に炭素基のナノ構造体を合成している。出発原料、共存触媒、および超音波処理条件(温度、時間、雰囲気、強度、その他)を系統的に変化させ、得られる生成物の結晶相、形態を整理・体系化することが全体の目的であり、本年度得られた知見は以下の通りである。1)前年度はジクロロベンゼンのソノケミカル反応における金属触媒を中心にスクリーニングを行ったのに対し、本年度は無機塩での合成を試みた。すなわち、前年興味深い結果の得られた亜鉛の塩化物、硝酸塩等について同様の合成実験を行った。その結果、硝酸亜鉛の単独添加では中実針状粒子、硝酸亜鉛と金属亜鉛の同時添加では中空針状粒子が得られた。2)非酸化物ナノ粒子のソノケミカル合成との類似性を探るため、硫黄化合物のソノケミカル合成についても検討を行った。塩化カドミウムと硫黄との反応は15W/cm2程度のホモジナイザ処理で進行したが、超音波なしでは全く起きなかった。超音波強度を25W/cm2まで上げると硫黄欠陥による蛍光発光が顕著になった。酢酸カドミウムを原料とした場合には酢酸根が還元剤として作用し、超音波なしでも粒子生成は認められたが、結晶性は超音波ありに比べて低く、ソノケミカル反応の優位性は認められた。また溶媒に用いたジメチルアセトアミドのソノリシスによるラジカル発生が示唆された。3)キャビテーション放電説との関連から電気化学的エネルギーの導入を試み、超音波エネルギーとの重畳効果について調べた。金属チタンの陽極酸化において生成するメソ多孔質粒子は、ソノケミカル効果によって気孔配列構造が均一化し、400℃の熱処理での構造安定性が大きく向上した。
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化学工業 56巻,2号
ページ: 112-115
Proc.17th Joint Seminar of the Busan Branch of the Korean Chemical Society and the Kyushu Branch of the Chemical Society of Japan 17
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Materials Integration Intermaterial Vol.18,No.4
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