近年、次世代型ディスプレイの開発が進み、高解像度画像実現などのために、蛍光体の平均粒径を小さくしたいという要望が高まっている。本研究では、安定不混和領域を持つY_2O_3-Al_2O_3SiO_23成分系に蛍光賦活剤として希土類酸化物Eu_2O_3を加えた材料、同様に安定不混和領域を持つことが予想されるBaO-TiO_2-SiO_23成分系(蛍光賦活剤の添加無し)の2種類の材料を、固相反応法および溶融法を用いて作製し、長期安定性を持つ高輝度発光材料を実現することを目的とした。平成16年度は、主として組成・組織変化の及ぼす蛍光特性への影響について調査を行った。 その結果、Y_2O_3-Al_2O_3SiO_23成分系では溶融急冷試料は分相組織を有する非晶質(ガラス)材料となることがわかった。また試料は紫外光照射により主としてEu^<2+>による青色発光を示し、その発光強度は熱処理によりY_2Si_2O_7相の準安定相結晶が析出した試料が、ガラス試料よりも高い値を示すことがわかった。3価のEuの2価への価数変化は、添加した金属Siによる還元作用、およびAlがガラス中のシリカネットワークに入りAlO_44面体を形成することで疑4価となり、近傍のEu^<3+>が還元されたためと考えられた。 一方BaO-Tio_2-SiO_23成分系でも、溶融急冷試料は分相組織を有する非晶質材料となることがわかった。またガラス試料を熱処理した試料では、Ba_2TiSi_2O_<78> (fresnoite)相が析出し紫外光照射により青白色発光を示し、また発光強度とfresnoiteの析出量には相関があることが分かった。青色発光強度の増大には分相を起因とするfresnoiteの結晶化が影響していると考えられた。
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