研究課題
基盤研究(B)
近年、次世代型ディスプレイの開発が進み、高解像度画像実現などのために、蛍光体の高性能化の要望が高まっている。本研究では、紫外線耐性および長期安定性を持つ高輝度発光材料を実現することを目指して、安定不混和領域を有するケイ酸塩系である、Y_2O_3-SiO_2系、CaO-SiO_2系、ZnO-SiO_2系、BaO-TiO_2-SiO_2系と、準安定不混和領域を有するNa_2O-B_2O_3-SiO_2系の5組成について、不混和領域内の組成・温度で相分離させることにより、ナノ・マイクロ領域の分相構造を有するガラスを作製した。その結果、いずれの試料でも分相組織を持つガラスおよび結晶化ガラス材料が得られた。また、これらの組成系において分相組織の大きさを組成、相分離の温度・時間などで制御可能であることを明らかにした。一方、蛍光賦活剤のドープまたは、熱処理による結晶化により、高輝度発光する材料の作製を試み、その発光挙動に対する微細組織、生成結晶相、光散乱能の影響について調査した。その結果、発光に対して以下の3項目の影響によると思われる発光強度の増大が認められた。1.ガラス相の結晶化により特徴的に生成する結晶相(準安定相、構造変化など)による発光強度の増大(特にY_2O_3-SiO_2系、CaO-SiO_2系、BaO-TiO_2-SiO_2系)2.分相による微細組織を起源とした結晶の生成・成長によると思われる、発光強度の増大(特にZnO-SiO_2系、BaO-TiO_2-SiO_2系)3.分相による微細組織を起源とした光多重散乱に基づく励起光の散乱によると思われる、発光強度の増大(すべての系)これらの結果から、分相を起源とするガラス内部の微細組織により、ガラス、結晶化ガラスを問わず発光強度の増大がもたらされる可能性が示唆された。この結果は今後の高輝度発光材料の設計指針となると考えられる。
すべて 2007
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Journal of Ceramic Society, Japan 115・3
ページ: 201-204
Journal of Electrochemical Society 154・5
ページ: J163-J166
Journal of Ceramic Society, Japan 115 (3)
Journal of Electrochemical Society 154 (5)