研究概要 |
マイクロガスタービンの動作環境下における,セラミック基複合材料の繊維とマトリックスの相互作用や界面特性を含む微視的変形破壊特性を考慮した損傷許容設計法を確立するために,材料の微視的構造と破壊過程の相互関係を明らかとするために以下の研究を行った. 1.強化繊維における発現強度がゲージ長に依存して変化する挙動を定量的に把握するため,従来Weibull最弱リンクモデルが多用されてきたが実験データと良好な一致を見せない繊維が存在することが指摘されてきた.そこで,当研究活動においては1)破壊力学の機構と欠陥サイズの分布状聾を組み合わせた新モデルを提案し,2)例としてTyrannoZMIセラミックス単繊維(宇部興産)を選択してゲージ長をパラメータとする引張り試験を行った結果,Weibullモデルとは食い違いを見せたが当モデルとは良好に一致することを提示した.この結果を踏まえ,今後当モデルを用いて信頼性設計を実施することにより従来のWeibullモデルに立脚した手法に比較して信頼性が一層改善されたCMCコンポーネントを提供することが出来る様になるものと期待される. 2.これまで開発を行なってきたゾルゲル法によるSiCOセラミックスの合成プロセスにて,SiC繊維を用いた複合材料の作成を行なった.その際繊維/マトリックス界面の制御方法として,従来の化学気相成長法ではなく希釈樹脂を用い,薄い炭素層を付与する方法を開発した.引張試験の結果,希釈割合が20%以上では強度が二定値となることを明らかにした.またテキスタイル複合材料に関しては1000℃での酸化試験を行ない,重量変化がまったく起きないことを確認した.しかしながら酸化後の引張試験結果及び破面観察より,繊維/母材界面に酸化物が生成し,結果的に強度が界面を制御していないものと同程度となることが明らかとなった.
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