研究概要 |
ジェットエンジンやガスタービンの動静翼等、高温下で用いられるNi基超合金の耐酸化特性を向上させる手段の1つとしてAlの拡散浸透処理(アルミナイジング)が挙げられる。本研究ではNi基単結晶超合金を母材とし、Ir基合金を被覆した材料を中心として、I.アルミナイジング条件とAlの濃度分布、それに伴う組織変化について系統的に調べ、II.耐酸化特性、高温における機械的特性との相関について検討するとともに、III.アルミナイジングに伴う組織変化を予測する数値計算手法を開発することを目標した。今年度は本研究の遂行に必須となる様々なAl蒸気圧、温度で拡散浸透処理を行えるアルミナイジング炉を作成し、以下の研究を進めた。(1)Ni-Al2元系合金にアルミナイジングを施し、処理温度、時間、原料粉体の組成等がAlの濃度分布と微細組織に及ぼす影響について系統的に調べた。(2)上記2元系合金にIrを被覆した材料に同様の処理を施し、Ir膜の有無と微細組織との相関について検討した。以上より、処理温度が900℃以上の領域ではAlの活量は温度よりも組成に依存すること、Ir膜の存在はAlの浸透量に大きな影響を与えないことを明らかにした。(3)上記の結果を基に、実際のNi基単結晶超合金にIrおよびIrに少量のHfを添加した合金を被覆し、アルミナイジングした試料の組織変化、耐酸化特性を検討した。酸化に伴う試料の重量増減の観点からはIr, Ir-Hf両試料間に大きな差異が認められなかったが、表面酸化相の成長速度、酸化に伴う試料表面の凹凸の生成といった観点からHf添加が有効であることを明らかにした。
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