研究概要 |
ジェットエンジンやガスタービンの動静翼等、高温下で用いられるNi基超合金の耐酸化特性を向上させる手段の1つとしてAlの拡散浸透処理(アルミナイジング)が挙げられる。本研究ではNi基単結晶超合金を母材とし、Ir基合金を被覆した材料を中心として、I.アルミナイジング条件とAlの濃度分布、それに伴う組織変化について系統的に調べ、II.耐酸化特性、高温における機械的特性との相関について検討するとともに、III.アルミナイジングに伴う組織変化を予測する数値計算手法を開発することを目標した。本年度はNi基単結晶超合金にアルミナイズを施した材料に関する特性を評価した。その結果、(1)Ptに30から50at%のIrを添加した合金をマグネトロンスパッタリング法、或いは電気めっき法によって被覆した後アルミナイズを施した材料は高温酸化特性、高温腐食特性いずれも良好であることを明らかにした。しかしながらアルミナイズによって試料のクリープ特性は劣化し、たとえばAl-50mass%Fe, NH_4Cl, Al_2O_3混合粉を用いて1000℃5hにてAr雰囲気でアルミナイズ処理をした試料のクリープ寿命はアルミナイズ処理を施さない試料よりも2割程度短くなることが明らかとなった。また、アルミナイズによる基材の組織変化には方位依存性があり、2次反応層(Secondary Reaction Zone : SRZ)と呼ばれるTCP相析出領域は<110>{001}方位でもっとも顕著で、<100>{001}方位では抑制されるということを明らかにした。
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