本研究は、材料加工・処理の分野において中心課題の一つとなっている組織制御に関するものである。昨年度までの予備実験の結果、1パス超強加工として、熱間押出し加工が優れた加工法であることがわかった。そこで、熱間押出し加工での押出し温度・押出し比を既存の押出し加工プレスの能力限界(90tonf)まで上げ、押出し温度1000℃、押出し比4〜11において、平均結晶粒径が3ミクロンを下回るファイン内部組織を一発で創成することに成功した。この結果をもとに、平成16年度実施した研究実績の概要は以下の通りである。 (1)予備実験での最低押出し温度は900℃で、このとき既存の押出しプレスは能力の限界に達していた。1パス強加工による微細結晶組織創成と加工温度とは強い関連があり、そのため900℃以下の温度で加工できる押出しプレスを新規に導入する必要があった。市販の機械プレスを基本構造とし、これに本研究の特殊性(制御冷却装置など)を加味した主パワーが250tonf、副パワーが50tonfの押出しプレスを新たに設計・製作した。 (2)新たに導入した押出しプレスによる実験と、昨年度まで行ってきた実験を比較するために、押出し温度、押出し比、押出し速度、冷却条件を同じ条件に設定して、プレス機械の違いによる比較・再現性について調査した。その結果、同一押出し条件では同一の粒度・組織となることを確認した。 (3)新たな挑戦として、押出し温度を700℃まで下げた押出し実験を新たに導入した押出しプレスで行い、平均結晶粒径が2ミクロンとなる材料の作製に成功した。 (4)新プレス導入による実験結果から、新たな可能性の検討ならびに問題点の整理を行った。
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