研究課題/領域番号 |
16360357
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
柳本 潤 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (90220194)
|
研究分担者 |
杉山 澄雄 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (90242122)
|
キーワード | 1パス強加工 / 鉄鋼材料 / 微細結晶粒 / フェライト組織 / EBSP / 機能素材 / スーパーファイン / 一発創成 |
研究概要 |
本年度、以下の研究を行った。 (1)低温・大ひずみ速度加工が鉄鋼材料の内部組織におよぼす影響 これまで、0.2%C鉄鋼において、加工温度が、より微細なフェライト組織を創成する上で重要であることを示した。一方、加工速度(ひずみ速度)が内部組織におよぼす影響については依然不明のままであった。本研究では、ひずみ速度を5/sと30/sの2水準に変化させた実験を行い、ひずみ速度が内部組織におよぼす影響について、光学顕微鏡ならびにEBSP(Electron Back Scattering Pattern)を使い、明らかにした。その結果、材料の結晶粒径に関しては、今回のひずみ速度の範囲では影響が少ないこと、ただし、粒度分布は、ひずみ速度の大きい方がより均一になることを明らかにした。 (2)1パス強加工により作製した微細組織鉄鋼材料の機械的特性検証 1パス強加工した材料を熱処理等は行わず押し出されたままの状態で用い、引張り試験と圧縮実験を行った。その結果、引張り試験では、材料の平均結晶粒度が2.4から1.8ミクロンメーターに微細化すると、均一伸びは約0.15から約0.1に、降伏強度は約470から約500MPaに、引張強さは約650から約700MPaに変化する。圧縮実験(室温)では、1パス強加工によって結晶組織を微細化した材料は、高さ方向に約70%圧下しても、内外面とも割れなどは起こらず、ひずみの増加とともに加工硬化による正常な応力上昇が見られた。これは、1パス強加工による結晶組織微細化材料の良好な冷間鍛造性を示す結果である。 (3)1パス強加工による金属粉末の成形 アルミ合金粉末を用い、焼結することなく、高温で1パス加工(押出し)を行った。その結果、良好な外面性状を持つ丸棒の押出し製品の作製に成功した。
|