研究概要 |
本研究は走行する細線ワイヤを工具として,試験試料の作成と当該試料に対する試験観察とを一台の装置で可能とし,必要に応じて表面除去深さを変えてこれを繰り返すことのできるシステムを開発する。この試料作成装置とSEMとEDSとを主体とする試験分析装置との間を連結して制御し,全システムを構築する.これにより画像処理したデータをフィードバックして加工を繰り返すなどの表面分析システムを開発することを目的とする. 平成16年度は,初年度として以下の項目を実施した。 (1)ワイヤ走行系の製作 ワイヤ工具を用いて,対象とする試料に対して切断や表面除去,研削などの工程を連続して実行できる加工装置を製作した。本装置はワイヤ放電加工およびワイヤ研削が機上実行可能である。 (2)SEM外試料放電切断 ワイヤ工具による試験試料切断特性の検討を行った。純水および鉱物油を加工液とした放電加工特性を調査し,切断の際の表面性状を調べた。また,絶縁体に対しては補助電極法を用いた油中放電切断を行い、5面加工の実用性を確認した。 (3)試料面に対する繰返し放電・研削走査加工 SEM外部においてワイヤ工具により試料の断面切断を行い,一層当たり0.1μmごとに表面を走査除去して,加工表面をSEMおよびEDS分析装置で確認した。表面走査加工においてはWEDG方式を用いたダイヤモンドスラリによるワイヤ研削を実行した。 (4)走査型電子顕微鏡筐体の導入: ロードロック部を設けたSEM連結型加工筐体を設計製作した。現在、その内部に小型ワイヤ走行系を組み込んだ全体加工系を組み立て中である。 (5)繰り返し加工による画像のデータ処理 SEM及びEDS分析システムにより試料の3次元元素分布を製作することを目指して、市販のソフトウェアを借用し、各観察面の2次元画像を重ねて三次元像を試験的に構築した。銅-タングステン材料に対する試験結果、3次元情報として元素分布を捉えることが可能であることを確認した。この際、連続的に変化する空間元素分布を捉えるための位置基準を設けることが必要であることが判明した。
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