研究概要 |
本研究は走行する細線ワイヤを工具として,試験試料の作成と当該試料に対する試験観察とを一台の装置で可能とし,必要に応じて表面除去深さを変えてこれを繰り返すことのできるシステムを開発する.この試料作成装置とSEMとEDSとを主体とする試験分析装置との間を連結して制御し,全システムを構築する.これにより画像処理したデータをフィードバックして加工を繰り返すなどの表面分析システムを開発することを目的とする. 平成17年度は,以下の項目を実施した. (1)真空対応型放電加工チャンバのSEMへの連結 真空対応型加工チャンバとSEMの連結部には,加工時に発生する加工屑の影響を考慮し,ゲートバルブを設けた.加工チャンバのSEMへの連結を行い,SEM連結筐体内で試料搬送試験を実施した. (2)繰り返し加工による画像のデータ処理 銅-タングステン材料に対して,SEM及びEDS分析システムにより試料の3次元元素分布を作成した.各観察面の2次元画像を重ねて三次元像を構築し,3次元清報として元素分布を捉えることが可能であることを確認した. (3)加工環境の検討 減圧雰囲気中における放電加工を実施した.気中放電加工は排水処理などの必要が無いが,極間距離が小さいため短絡が多く発生する.減圧雰囲気にすることで,極間距離が拡がり,放電加工時に発生する短絡が減少することを確認した. (4)圧電素子(PZT)による振動付与試験 気中放電加工では,極間距離が狭く放電が不安定になりやすい.PZTを数μm振動させることで,短絡が発生しても直ちに回避が可能であり,正常放電の発生が増大することを確認した. (5)FPGA(Field Programmable Gate Array)による放電制御 全システムの制御には、独自の論理回路をICに書き込むことの出来るFPGAを用いた.これにより,試料の作成から搬送までをコンピュータによって容易に制御することができる.加工機の主軸制御,パルス制御に用い,コンピュータによってGUI操作を実施した.
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