研究課題/領域番号 |
16360360
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
久保内 昌敏 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (00186446)
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研究分担者 |
津田 健 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (90016585)
冨山 禎仁 独立行政法人, 土木研究所, 研究員 (50370721)
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キーワード | 光ファイバー / センサー / エポキシ樹脂 / pH指示薬 / BTB / BPB |
研究概要 |
本研究では、酸およびアルカリ水溶液の樹脂中への浸入を検知するセンサの開発を行うことを目的としている。本年度は材料中への環境液浸入の影響が大きい有機酸を加え、さらに積層FRP内に埋設できる小型・薄型センサの改良・作製を行った。 具体的には、まずpH指示薬には酸性およびアルカリ性両側での呈色反応を起こすものとして、様々な呈色指示薬の中から、BTB(変色域pH=6.0〜7.6)およびBPB(変色域pH=2.8〜4.4)をとりあげた。また環境液が素早く浸透し、かつ化学変化を伴わない樹脂として、数種類のアミン硬化剤を用いたエポキシ樹脂で検討を行った。 はじめにpH指示薬を添加した樹脂を用いて板状の試験片を作製し、有機酸としてクロロ酢酸を用いて浸せき試験を行った。浸せきによりBTBでは緑から黄緑へ、BPBでは青から黄への変色が見られ、可視光スペクトルにおいても450〜500nm付近のピークの減少および600nm付近のピークの増加が観察された。 次にFRPの積層間への適用が可能な薄型化を目指した光ファイバーセンサの作製を行った。ビニルエステル樹脂を含浸させたガラスクロスにてプラスチック製光ファイバーを挟み込み、硬化させた後光ファイバーにスリットを入れた。このスリット部分にpH指示薬を添加したエポキシ樹脂を流し込み、硬化させて薄型センサモジュールとした。 このセンサモジュールをエポキシ樹脂-ガラスマットFRP中に埋設し、クロロ酢酸に対して片面浸せきを行い、光ファイバーを透過する光についてモニタリングを行った。 BTBを用いたセンサでは500nm付近のピーク減少のみであるが、BPBを用いたセンサではそれに加えて600nm付近のピーク増加が明確に認められ、より高い信頼性が得られると判断される。
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