研究課題/領域番号 |
16360364
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
巻野 勇喜雄 大阪大学, 接合科学研究所, 助教授 (20089890)
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研究分担者 |
三宅 正司 近畿大学, リエゾンセンター, 教授 (40029286)
佐野 三郎 産業技術総合研究所, 主任研究官 (20357164)
斎藤 英純 神奈川高度技術支援財団, 技師(研究職)
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キーワード | ミリ波焼結 / イッテルビア助剤 / ナノ構造粒界層 / 窒化アルミニウム / 高熱伝導率 / 結晶子径 |
研究概要 |
平成16年度においては窒化物(窒化アルミニウムと窒化珪素)セラミックスのミリ波焼結に適した酸化物助剤の探索を検討した。また、アルミナ-ジルコニア複合セラミックスのミリ波焼結においては結晶学的な観点からミリ波加熱効果を検討した。その結果、以下のような成果を得た。 1)イッテルビアベースの助剤がこれらの窒化物の低温迅速焼結に非常に効果的であることを見い出した。とくに、イッテルビア添加窒化アルミニウムの焼結では、従来法と比較して、焼結時間を約1/10に短縮し、かつ焼結温度も200℃以上低温化しても100%近く緻密化できることが明らかにされた。しかも、このような迅速低温焼結にもかかわらず、助剤組成と焼結時の雰囲気を調整することにより220W/(m・K)の高熱伝導率を有する焼結体を得ることに成功した。このような高熱伝導率は電磁波効果により非常に薄い(1nm以下の)酸化物層からなる粒界構造が形成されることによることが明らかとなった。 2)窒化アルミニウムに対する種々の希土類酸化物の助剤効果を研究した結果、イッテルビアがミリ波の選択吸収特性や複酸化物形成特性に基づく助剤の加熱特性が優れているために、極薄の粒間酸化物層が低温短時間で形成され、高熱伝導性の窒化アルミニウムの合成を可能にすることが明らかとなった。 3)窒化珪素のミリ波焼結においては複雑な粒間酸化物層が形成されるために、窒化アルミニウムと比較して明瞭な結果が得られなかったが、共晶組成をもつ助剤が迅速低温焼結に最適であることが示された。 4)アルミナ-ジルコニア複合セラミックスのミリ波焼結においては、従来からアルミナ単相のミリ波焼結において指摘されている結果と同じく、アルミナの結晶子径が抑制されて緻密化できることが明らかとなった。
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